杉田水脈の歴史観がクソすぎる。

 最近、杉田水脈がネット上で話題をふりまいている。伊藤詩織さんへのバッシングに始まりTwitter上での炎上。いろんな人が方々で批判しているので付け加えることはないのだが、なんだか保守系政治家の中でもひときわ目立つ存在の杉田水脈氏。日本の名誉回復運動の先頭に立つ女性議員として活躍中だ。

 とくに僕が目に余るのは、「慰安婦問題」のことである。日本の保守陣営にとって日本を毀損する問題として慰安婦問題はたびたび言及されてきたが、最近、女性が慰安婦像をバッシングする光景が目についてきた。「男である」という理由だけでこの問題には不利に働くと判断した保守勢力が、国際社会に「女性」を立たせて「慰安婦に関する捏造を打破する」という戦略をとり始めているらしい。その代表格ともいえる存在が、杉田水脈なのである。しかし、彼女の保守活動は、はたから見ても、びっくるするほど「クソ」である。とくに慰安婦問題に対する見解は本当に酷い内容だ。そこらへんの愛国シンパと同じように彼女も「強制連行された事実はない」というベッタベタな主張を繰り広げる。彼女の慰安婦問題に対する見解が「韓国人の皆さん「強制連行された」で本当にいいの?」に書かれているので一部抜粋してみよう。
 だいたい私は「慰安婦はいなかった」なんて言っていません。「慰安婦を強制連行したり性奴隷にした事実はない」と言っているのに、彼らは耳を貸そうとしません。韓国人のみなさんp20
 そもそも日本は慰安婦女性に謝罪する必要はない。なぜなら強制連行された事実はないのだから。と杉田水脈は主張する。その証拠に、杉田水脈アメリカ軍の調書を持ち出してくる。アメリカ軍がビルマを占領した際にビルマ慰安婦業者を尋問した調書だ。杉田水脈はこの資料をもって「強制連行はなかった」と断言する。
 私たちは視察時に、アメリカ軍が昭和19年に作った『尋問調書』のコピーを持参しました。この調書は、ビルマにいた慰安婦の調査を元に作成されたもので、慰安婦達が当時、高額な給料を貰っていたことなどが記されており、決して「性奴隷」ではなかった。ということが明らかにされているのです。「なでしこ復活」P28
 つまり杉田水脈「この資料」によって「性奴隷ではない」確たる証拠を確信したらしい。アメリカ軍がビルマで捕まえた慰安婦業者に尋問した調書だ。この資料を見ると、たしかに慰安婦「スポーツ行事に参加して楽しく過ごし、また、ピクニック、演奏会、夕食会に出席した」と書いてある。さらに女性たちは「欲しい物品を購入するお金はたっぷりもらっていたので、彼女たちの 暮らし向きはよかった」とも書いてある。スポーツ行事に参加して多額の報酬をもらっていた。さあ、これのどこが性奴隷なんですか。と杉田水脈は訴える。Twitter上でこれを彼女が自信満々に提示していた時、あまりの既視感に哀しくなってつい笑ってしまったのだが、というのもこのビルマの調書は慰安婦否定派が必ず出してくるベタな反証物件だ。この文章よく読めばわかるが、これよく注意して読んでみてほしい。この文章には保守派の主張する「慰安婦女性は豊かで強制連行もされてなかった」とは別の事実がはっきりと冒頭に書かれている。冒頭の部分。女性が連れてこられた経緯を見てほしい。
 日本軍によって新たに征服された東南アジア諸地域における「慰安役務」に就く朝鮮;人女性を募集するため、朝鮮に到着した。この「役務」の性格は明示されなかったが、それは病院にいる負傷兵 を見舞い、包帯を巻いてやり、そして一般的に言えば、将兵を喜ばせることにかかわる仕事であると考えられていた。
 これらの周旋業者が用いる誘いのことば は、多額の金銭と、家族の負債を返済する好機、それに、楽な仕事と新天地シンガポールにおける新生活という将来性であった。
 つまり慰安婦たちは「仕事」の内容を具体的に教えてもらわずに占領地に連れてこられているのだ。つまり業者が偽りの説明で女性を連れてきて前借金を背負わしたうえ「前借金を払い終わるまでは返さない」と日本軍がそれに加担しているのである。 業者も処罰されているそぶりもない。
 さらに次の文章にはこう書かれてある。
 慰安所の楼主」は、それぞれの慰安婦 が、契約を結んだ時点でどの程度の債務額を負っていたかによって差はあるものの、慰安婦の稼ぎの総額の50ないし60パーセントを受け取っていた。これ は、慰安婦が普通の月で総額1500円程度の稼ぎを得ていたことを意味する。
 慰安婦は、「楼主」に750円を渡していたのである。多くの「楼主」は、食 料、その他の物品の代金として慰安婦たちに多額の請求をしていたため、彼女たちは生活困難に陥った。
 つまり杉田水脈はこの資料を「慰安婦女性の待遇は良かったんだ」と解釈するのだが、実は、それは大きな間違いで、実際食料品は豊富に買えたが後で業者からガッツリ請求されているのである。つまり業者が慰安婦を困窮させるほどピンハネしてそれを見て見ぬ振りをして日本軍が利用した。さらに次の文章にはこう書かれてある。
 1943年の後期に、軍は、借金を返済し終わった特定の慰安婦には帰国を認める旨の指示を出した。その結果、一部の慰安婦は朝鮮に帰ることを許された。
 つまり慰安婦の女性には「仕事を辞める」自由すらなかった。日本軍の許可がないと帰れなかったのだ。具体的な役務の内容を説明せず前借金を背負わせそれが払い終わるまで内地には返さない。と軍が拘束したわけだ。杉田水脈さん。それって強制連行じゃないですか。日本軍が命令して業者の悪事に加担して戦後になって証拠を隠滅した。それ完全に共同正犯じゃないですか。わざわざ世界にまで行って強制連行を示す資料を提示するという愚行を犯しているのだ。なんでこんな恥ずかしいことができるのか。ちょっと理解に苦しむ。これじゃあ恥をさらしにいってるようなもんじゃないか。さらに杉田水脈はこう締めくくる。
 女性を強制連行した、さらには性奴隷にしたっていうところまで認めてしまうっていうのは、やっぱり日本人としては行き過ぎじゃないかと思うんですけれどp195韓国人の皆さん。
 いやいや行き過ぎも何も「本人の意思に反して」性行為が強要されていたのなら、それは「性奴隷」としか言いようがない。しかも業者にピンハネされて借金を返すまで内地には返さないと軍が加担している。業者が裁かれている様子もない。このような状態であれば、被害を訴える女性が世界各国にいるのはいたって自然である。しかも杉田水脈は、無理強いさせて日本軍の慰安婦にさせられた人々を「強制性」の問題にすり替えてこう正当化する。慰安婦になった人の意思に反したことをもって強制性があると言っている。そういう意味の強制性なら、今の風俗業で働く人だって、一部には好きで従事している人がいるかもしれないけれど、多くは金銭を稼ぐためにやむえをず風俗業で働いているんでしょう」(女性だからこそ解決できる慰安婦問題p203)
 なにを言ってるんだろうか、この人は。女性を風俗店ではたかせるのは犯罪ではないが仕事の内容を偽って従事させたら犯罪でしょうが。自分の意思で風俗業で働く人と本人の意思に反して行われた慰安婦女性のケースを何故混合しているのか。意味が分からない。なんども言うが、甘言を用いて性行為に従事させる行為は、それは紛れもない「性奴隷」だし「強制連行」としか言いようがない。いやマジで杉田水脈さん。大丈夫なんだろうか。こんな人が国際社会に出て日本の無実を訴えてるとしたら狂気としか言いようがない。マジで日本の未来を憂いてしまうレベル。これで日本の名誉を取り戻すとか言ってるんなら、かなり認知がゆがんでいる。としか言いようがない。なんかこんなレベルで先陣を切って歴史戦で活躍してると知って日本の外交レベルの低さに暗澹たる気分になった。 

 

女性だからこそ解決できる慰安婦問題

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韓国人の皆さん「強制連行された」で本当にいいの?

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