作家志望が書いたつまらない小説にありがちなこと


 ①いきなり「プロローグ」とか「序章」から始まっちゃう 

 市販されている小説を読んだらわかるけど、プロローグや序章なんてあるやつある? ほとんどないと思うぞ。そんでもってプロローグって、ほとんど他人から見ればあってもなくても全然困らないような内容がほとんど。
 そんなことなら切っちゃいなよ。いきなり本題から入ったほうがスマートだとオレは思うぞ。

 

 ②登場人物がやたら多い。
 
 これは大風呂敷だけを広げて、畳むことに失敗するパターンである。
 1ページか、二ページそこらで、登場人物がやたら出てくるのである。主人公がどういう人間なのかわかってないのに、次々と「え、誰?」「え、そいつ誰?」みたいな、本人の中ではしっかりとキャラクターが浮かんでいるのだが、他人に読ませても「こいつは別にいらなくね」とか言われちゃう。他人をお話の中にすんなり引き入れるには、多くても主要キャラクターは三人か四人が限界なんじゃねーかな・・・。

 ③読み始めて、しばらくしても何についての話なのかよくわからない
 
 これもかなり多い。ずーっと読んでいってもなんだかよく分からない主人公の退屈な日常が書かれてあるだけで、いつまでたっても事件が起きないの。主人公が困らない。ずーっとなんだがよく分からない文章がだらだらと続くの。セントラルクエスチョン(主人公は○○できるのか?)を提示するのが遅すぎるわけ。遅くても10ページまでには何の話なのか提示しないと、空ながめてたほうがマシだってなるぞ・・・。
 
 ④登場人物が画一的すぎる 
 
 女子高生が出てきたら女子高生の口調、オタクはオタクの口調や行動、ヤンキーはヤンキー、校長が出てきたら校長、婆が出てきたら婆、どれもこれも画一的で、その個人特有の人物造形ができていないパターンってあるよな・・・。女子高生だったらこんなことはしないだろうとか、ヤンキーはこんなこと言わないだろうかとか考えず、こいつ自身はどう動くかを考えたらうまくいくかも。

 ⑤登場人物の名前が読みにくい

 これもファンタジーっぽい作風の小説や、学園ゴシックホラーみたいな作風によくあるのよ。なんか主人公の名前が「一葵」とか「詩空」とか「絆星」とかむちゃくちゃ読みにくいわけ・・・。そんで主人公の名前読みづらいなぁって思ってたら、今度は友達とか出てきてそいつの名前も「希星」とかだったりして、もうキラキラネームの嵐でブン殴りたくなるの。ほんとこれホント多いのよ・・・。無駄に名前に凝ろうとするそのひたむきさはなんなのだ・・? もうササキとか田中でいいじゃんよ・・・。

 

 ⑥退屈な生活をおくる主人公のもとに、都合良く謎の美少女が現れる。
 
 導入で、ここまでうんざりさせられる展開は他にない。冒頭に退屈した主人公の日常が延々と描かれ、突如としてその生活に舞い降りた謎の美少女。これがぬる~い青春ものとかになったりしたらもう最悪…。導入としてはすごくわかりやすくて、お話も運びやすいのはわかるがもう一つ何かひとひねりちょうだい!
 
 ⑦自分でも言葉にできない「イメージ」とか「感性」を書こうとしている

 自分の中に溜まった抽象的な「何か」を表現しました、と言う小説はたいがい、つまらない。誰にも理解されない私の大事にしてきたこの感性を理解してって感じの作風。あるよな。こういう小説は冒頭にかならず自意識を垂れ流したような文章とか、どうでもいい詩みたいなのが長々と続き、ちょっと書いている本人が陶酔している。お前の感性なんかどうでもいいから!

 

 ⑧なんかわけわからんメタ小説を書いてしまってる

 

 文芸理論で頭でっかちになってる人が陥りがちなパターンである。若いころって、たいてい自分は天才だって思ってるから、なんかすごい小説を書こうとして力じゃうのよね。だから「小説を書いてる私・・・」みたいな入れ子構造ってやつをやろうとして、もう本人にしかわけのわからん観念的な小説になっちゃってんの。その文章、赤の他人が読むんだよね。もっと素直に、普通の小説書けよ。そういうのは大作家になって好きなだけやったらいいじゃん。

 

 ⑨なんか自然描写だけの小説 
 
 なんか冒頭からさらーっとしてて、自然とかそういう情景描写ばっかりの小説ってあるよね。たぶん自分の中では美しい情景が思い描けてると思うんだよ。でも他人ってそんなに人が感動したことに共感はしてくれないんだよ。よくありがちなのが自然と人間の死を対比させているパターンね。

 
 
 ⑩文章はうまいんだけど、全体的に大したことが起こらない、地味。
 
 こういう小説が一番多い。文章もプロ並み、テーマも立派、でも読んで一週間したらもう忘れてるわって作風。純文学を志している人に多い。毒にも薬もならないというべきか。こういう人は開き直ってとことん地味な話を書くべか、または自分が普段全く読まないような超エンタメ小説や劇薬小説などを買いあさって読んで、一度頭をフルチェンジしてみるのが一番ベストである。

 

 ⑪うまいんだけど、なんか、いい話止まり

 

 ほんとはこれがめっちゃ多いのよ、実は!!!うまいんだよ。うまいんだけど、読んだあと「いい話だったな」って終わっちゃうだけの小説。おばあちゃんの優しさとか、親友同士の絆とか、死んだ恋人の伝えられなかった思いとか、亡くなった父との思い出とか、死んだ犬との思い出とか、なんかよさげな温かい人間観に満ちた小説。読んでいて、「うん、いい話だね」で終わるような。

 

 えらそーなことを言ったが僕自身、この項目に当てはまっていることが多々ある。
 だから人のことは言えないのだ…。この項目に当てはまったからと言って100パーセントつまらないということにはならないから気にすんなよ。