村上春樹「街とその不確かな壁」大反省会

 

びっくりすることに、ちょうど十年なんだ。今年で。春樹レビューから。もうそんなたつのかよ。この十年、ハルキ特需に沸いていたといっていいほど、春樹バブルのいざなぎ景気 に、我ながら図々しくのっかってきた。

今はもうバブルはじけて元にもどったけどこんな(たとえ一時でも)うだつの上がらないニートを世に出してくれたハルキ、にたいし、今は、万言を尽くしても言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいだ。これからも一生、忘れられない思い出となっていくのだろう。春樹さん、本当にありがとう。

 そんな春樹さんがまた本を出した。

で、しかし、此のアマゾンでじっと今も忙しくてこの二日コノ本と対峙して、其のハルキ本を、丁寧に読んでいのだけど、ぶっちゃけ言うと今回のハルキは、あまりハマることができませんでした。なんかアマゾンを視ると、賞賛系のレビューがやけに多いのでけっこう期待してたんやけど、う~ん・・・なんだろうな。今回は、ワシはちょっとお手上げというか、あんまりのれなかったです、

 

まぁ、どんな話か、ザックリと説明するとね。今回の主人公は、又ハルキらしい平凡でスカした高校生なんですね、で、ある日、其の主人公が、同い年の女の子に一目ぼれするんです。で、其の子に告白して、仲良くなって街を行き来して其の女の子とデートをしたりするわけです。で、互いにデートをかさねながら、あるとき空を見上げながら、つぶやくわけ。「ぼくらは恋人同士だったのだろうか。簡単にそんな風に呼んでしまっていいものか?ぼくにはわからない。(P27)」」

 

こんなんばっかりやん。村上春樹こんなんばっかりやん。

 

実は本当の私(本体)は、

ある別世界のお城に住んでいて今のわたしは本体から分離した”影”なのって言い始めるんです。この時点でただのアホの子やんって思うんやけど、主人公は、それをやさしく受け入れるんです。

 

で、それで其のお城に住んでいる女の子と付き合うんだけど段々手紙のやり取りみたいになっていくんです。其の子が、引っ越しちゃって。で、主人公が、一生懸命、其の子に、手紙を書くんです。でも、ハルキの主人公なんで、手紙の内容とかまったく思い出せないわけよ。で、その割に、手紙を書く時の「インクの色は常にターコイズブルー」とかは覚えてるんですよ。どうでもええわ。なんやねん。ターコーイズブルーって。で、まぁ女の子とは其の後、いろいろあってやりとりが途絶えちゃって、それからいろんな女の子にちょっかいだしはじめるんですね。いつものハルキっぽく。

 

で、なんか突然主人公が、他の女の子を食い気味に片っぱしからバーとかに行って口説こうとするんですけど、また今回も、「私は彼女に恋をしているのか。答えはおそらくノーだ」(P493)。どないやねん。またこのパターンなんです。

 

で、今回注目すべき注目のオサレワードは、其の女の子を口説くときの主人公が口走るセリフです「もしよかったらうちに来ないか?」と言う主人公に対して、女の子が「あなたはどんな料理が、作れるの?」と聞くんですね。そしたら主人公が、「小エビと香草のサラダに、イカのキノコのスパゲッティ、シャブリも冷えている」(P476)。って答えるんです。はい。又出ました。シャブリも冷えてる。今回のオサレパワーワードです。で、其れを聞いた女が、「聞いているだけで心が惹かれちゃう」って。どこがやねんw

 

今作における最もイカした”オサレ口説き文句ベスト4”にこの『シャブリも冷えてる』を付け加えたいと思います。ちなみに、わたしの村上作品の最高のオサレ口説き文句ベスト3はこれです。

 

 ベスト3「ピッツァでも食べないか?」(P320ダンスダンスダンス)

 ベスト2「ビーツボーイズでも何でも聞きながら150キロ出してドライブしよう」(P335ダンスダンス)

 

ベスト1「君は僕と寝るんだ。最初からそう思っていた」(P315ダンスダンス(下)ーーーー断定系っ!?

 

 

で、そんな今回も又よくあるハルキなノリで主人公は、いろんな女の子と平凡に付き合ってるんですけど、でも、やっぱり城に住んでいるあの子が、忘れられないんです。。作中でくやしそうに「ぼくに残されているのは、きみが過去にターコイズブルーのインクで書いた手紙が・・・・」(P142)って。なんでそんなターコイズブルーが好きなんやw

 

 

で、主人公は、やっと本の中盤で、其の女の子が住んでいるお城に行くことを決意するんです。で、そこからまたひともんちゃくあるんですけど。うーん。まあなんていったらいいのだろ。まあ、読んだけど、ぶっちゃけ言うとコノ小説、完全に設定が海辺のカフカだねって思った(影のくだりとか特に)其れ以上でも其れ以下でもないです。まあ読んでみたらいいじゃないですかね。ボクは、ぜんぜん面白いとは思わなかったですけどね。ぶっちゃけ、この小説要約すると、ボクが好きだった女の子の分身に会うために影の世界の城に行ったけど、其の子、意外に貞操観念めっちゃ強くてセックス全然できなかったので反動ダメージ食らって勝手に病んで帰ったって話ですからね。え?これはヤリちんの失恋っって。昆布漁にでも出て、海の藻屑となって、惜しみなく散っていただきたいと思いました。