大学を中退しようと思っている君へ。

 

 ・・・若さ、というものは往々にして、とりかえしのつかない間違いをしでかすものである。とくに、大学において。中退。というのは、誰もが、一度は思い、ためらう。決断のなかでも、ひときわ、重い。勇気のいるテーマである。

 このブログ、けっこう大学生が見てるらしいし、今日はその話をしようと思う。

 なんたってボクは、大学を、二回もやめているのだ。一回なら、まだしも、二回である。「中退」に関してなら、その道の「プロ」だと思ってくれてかまわない。大学を心底、つまらないと感じている人、あるいは大学生活にとけ込めない人、もしくは、もう「大学やめよっかな」とか思ってる人にむけて、今日は、その話をしたいとおもう。

 中退に関して。まずはじめに言っておきたいのは「中退は、あんまりしないほうがいいぞ」ということ。 ミもフタもないが。「あんまり」というところに微妙なニュアンスがあるのだが、中退しても、あんま、ろくなことはないぞ、という意味である。まず中退は、ある意味、勉強して大学に入学するより、しんどい、ということだ。  

 まず「辞める」と決意し、退学届をもらうまで。→ 親を説得する → 担当教授に許可をもらう → 学長にハンコをもらう。この一連の流れ。  これが、もう、けっこう大変なのだ。なんで辞めるかを説明しなきゃなんないし、向こうは、大人だから、どうしてもこっちを「説得」しにくるので。その外圧をなんとかくぐり抜ける「意思」、というものが必要になってくるし。とくに親なんか、もう泣き落とす勢いで、バカなことはやめなさい!と言ってくるだろう。何考えてるんだ。将来、どうするんだ、学費払ったのに。とか、いろいろ言ってくるだろう。そこを「うるさい!」とはねのける、中退スピリット。これが必要になってくる。それで仮にやめられたとしても、そのあとの生活は、なんの後ろ盾もない、・・・孤独だ。専門に行くか、別の大学を目指す、というのなら、まだいいが、ボクみたいに、まったくの「ノープラン」で辞める、ってのは、もうほとんど自殺行為である。破天荒である。よく生きてられたと思う。  

 そもそもなんでやめたのか。これが、いろいろあって言い尽くせないんだけど、一番の理由は、大学がすごーく「遠かった」から。もう、すごい、田舎の、奥の方にある大学だったんだけど・・・、(答案用紙に、名前、ちゃんとかければ入れるレベルの大学でした)、  ・・・3時間ぐらいかかるのだ。電車で。そんで死ぬほど、坂道に建てられて、70度ぐらいの坂がある。そこを通っていくだけの、根気、バイタリティがなく。入学して、三日後には、大学に行くふりをして、ブックオフに寄ったりしていた。大学って辛いのは、一回つまずくと、ずるずると行きづらくなって。久しぶりに行ってみると、もうグループみたいなのができあがっていて。講義とか変わってても、誰も教えてくれないし。クラスも入れ替わるから、誰としゃべっていいのかわからないし。席とかも指定がないから、強制的に混じえるキッカケもなく、そのままポツネンと講義を受け、誰とも喋らずに帰る、という、そんなキャンパスライフを送っていた。

 遠かったし、なによりつまらなかった。 将来の目標もなく、就職とかもしたくない。かといって、やりたいことがあるわけでもなく、なにひとつ、これといった目標もないまま、ダラダラと、それでいて、なにか、「これは自分のやりたいことじゃない」というセンサーだけは、異様に発達していて、そのセンサーをたよりに出した結論が「中退」だったのだが、そもそも「中退」するなら、初めから入るなよ、と思う。

 というのは、僕が「中退」に関して最も深刻な問題だと思っているのは「大学を辞めるかべきか否か」より「なぜ辞めたいと思うような大学に入ってしまったか」ということに尽きると思うのだ。なぜ入ったのか。私の後悔は第一にそれである。

 大学を選ぶときに何が辛いかと言えば「入る前に、決めなければいけない」という事だと思うが、入学する前に、ただ人の言うことや、周りの意見に流されて『なぜ、自分がここで学ぶのか』ということを深く考えなかったことが、根本的に「つまんない大学」を選んでしまった決定的な因じゃないかと。わたしは、いま、切実に、それを実感する。僕の失敗は、自分の意思もなく、ただ、周りに「流されていた」だけだったということ。

 そこらへんのことを問い直さないとまた同じ判断ミスをするんじゃないか。2回の中退経験で、やっと僕はそれを学んだ。  

 大学は、「自分のやりことを探す」場所じゃなかった。

 大学は、自分の「やりたいこと」を見つけに入るのではなく、自分の「やりたいこと」を見つけてから「入る」ものだと思っている。

 いまさら後悔しても遅いのだが、はやくこれに気づくべきだったと、いま激しく、後悔してるところだ。

 だから、ほんとうは大学って、もうちょっと人間がしっかりしてから行くべきだと思うのだ。自分が何がしたいのか、どういう人間になりたいのか、みたいなのが、あるていど、はっきりしてから行ったほうが「中退」という悲劇を避けられるような気がしてならない。だからあんな高校のときに、ハイじゃあ大学決めようか!ってなる感じが、そもそもおかしくて。高校性の頃なんて、ほんとなにも見えてなかったし、目的もなかった。そんな子供たちに、さぁ進路えらべコラ、って、かなり乱暴な教育システムだと思う。  ボクのような中退犠牲者をこれ以上、生み出さないためにも、これから前途ある若者たちに、ある程度、示唆しておきたい。  

 おすすめは浪人だ。マーチ受けまーすって、口で言っておいて、二年間ぐらい、好きなことをする。勉強するふりをして。あとでおれ、やりたいことあるわ、って方向転換しても、そんな怒られないだろうし、学費もかからない。ボクが今、18歳に帰れるなら、まちがいなくそれで行く。こんな大学やめて、ニートだが、フリーライターだがわからない(いや、正直、かなりニート)みたいな、ところに落ち込んで、くすぶっている人間になる前に、最後にこれだけは言っておきたい。大学に入る前に、自分の輪郭というものを、はっきりさせておいたほうがいいと。そして、もう入っちまったやつは、はっきりとしたヴィジョンをもって、やめよう。ボクみたいに見切り発車でやめて、何重にも傷を負ったろくでもないニートになったらだめだぞ。